不動産相続における配偶者居住権とは?成立要件と注意点も解説

2024-05-21

不動産相続における配偶者居住権とは?成立要件と注意点も解説

この記事のハイライト
●配偶者居住権とは夫もしくは妻のどちらかが亡くなった場合に残された配偶者がその家に無償で住み続けられる権利
●不動産相続の開始時点で居住していることや法律上の配偶者であることなどが成立要件
●相続税がかかることや再婚をしている場合は権利の利用に支障がでる恐れがあることなどが注意点

高齢化によって、夫もしくは妻が亡くなったあとに残された配偶者が長い期間、生活を継続することになるケースが増えています。
住まいを確保するだけでなく、将来の生活費も確保しなければなりません。
そのようなときは、配偶者居住権の利用によって、満足度の高い遺産分割がおこなえるかもしれません。
今回は不動産相続における配偶者居住権とはなにか、成立の要件や注意点について解説します。
姫路市で不動産相続を予定している方は、ぜひ参考になさってください。

\お気軽にご相談ください!/

不動産相続における配偶者居住権とは?

不動産相続における配偶者居住権とは?

まずは、不動産相続における、配偶者居住権とはなにかについて解説します。

配偶者居住権とは?

配偶者居住権とは、亡くなった方が所有していた家に、無償で配偶者が住み続けられる権利です。
夫もしくは妻のどちらかが亡くなった際、残された配偶者は遺産分割の内容によっては、住まいを失うことになりかねません。
そのような事態を防ぎ、配偶者の居住権を確保するため、2020年4月に施行されました。
建物の所有者が別であっても、要件を満たせば住み続けることが可能です。

新設された背景とは?

夫婦の一方が亡くなった場合、残された配偶者はその家を相続し、住み続けるのが一般的でした。
しかし、不動産は高額な財産のため、その分評価額も高くなり、税金の負担が大きくなるといったリスクが生じます。
高額な相続税を支払うことになれば、預貯金や現金が減ってしまい、生活が苦しくなるといった事態を招きかねません。
そのため、泣く泣く自宅を手放すケースも多くありました。
また、亡くなった方が所有していた家に住み続ける方法として、下記が挙げられます。

  • 配偶者に家の所有権を移転する
  • 家を取得した相続人から、配偶者が無償で借りる
  • 家を取得した相続人から、配偶者が有償で借りる

配偶者が家を相続した場合、ほかの相続人と差が少なくなるよう、家以外の財産を受け取らないケースがあります。
家を取得した相続人から無償で借りる場合、家を取得した方が売却してしまえば、使用借権を第三者に対抗することができなくなります。
退去を求められた場合、速やかに応じる必要も出てくるでしょう。
家を取得した相続人から、配偶者が有償で借りるケースでは、安定した住まいを確保することが可能です。
しかし、毎月の家賃が負担となり、老後資金が目減りしてしまう恐れがあります。
これまでも、不動産相続時は残された配偶者が住まいを確保することは可能だったものの、デメリットが多くありました。
不動産相続において、無償で安定した住居を無償で確保しつつ、バランスの良い遺産分割といったニーズを満たすことのできる制度が、配偶者居住権です。

所有権と居住権とは?

配偶者居住権では、建物の価値を、所有権と居住権に分けて考えます。
居住権は評価額が高額になりやすい所有権と比べると、廉価に見積もられることになります。
居住権の取得によって、法定相続分の範囲内で、住まいと生活費をバランス良く確保することが可能です。

▼この記事も読まれています
不動産を相続すると税金が発生!計算方法や節税につながる対策とは?

\お気軽にご相談ください!/

不動産相続で知っておきたい配偶者居住権の成立要件

不動産相続で知っておきたい配偶者居住権の成立要件

続いて、不動産相続で知っておきたい、配偶者居住権の成立要件について解説します。

権利の取得方法

配偶者居住権は、不動産相続によって自動的に得られる権利ではありません。
そのため、下記のような方法でご自身で権利を取得することになります。

  • 遺言書や遺産分割協議での遺産分割
  • 死因贈与
  • 家庭裁判所による審判など

一般的には、遺言書や遺産分割協議での遺産分割によって、取得することになります。
遺産分割協議とは、財産の取得方法や割合を、相続人同士で話し合うことです。
配偶者は、遺産分割協議をおこなうタイミングで、配偶者居住権を設定したい旨を主張することもできます。
しかし、実際の不動産相続では、相続人同士でトラブルが起きたり、その家に住み続けることを反対されたりして、話し合いがまとまらないケースも少なくありません。
遺産分割協議が難航する場合は、管轄する家庭裁判所に申し立てをおこなえば、権利の取得が認められる場合があります。

要件1:不動産相続の開始時点で居住している

権利を取得するための要件は、不動産相続の開始時点で居住していることです。
もし別の家に住んでいる場合、要件を満たすことができません。
そのため、将来配偶者居住権を取得したい場合は、夫婦が同居している必要があります。

要件2:法律上の配偶者である

要件として、法律上の配偶者であることも挙げられます。
いわゆる内縁関係の場合、権利を取得することができません。
また、親や子どもなど、配偶者以外の方に対して設定することも不可となります。

要件3:登記をおこなっておく

登記をおこなうことは、要件として含まれません。
そのため、未登記であっても権利を設定することが可能です。
しかし、万が一家の所有者が売却をしてしまった場合、配偶者は引っ越しを余儀なくされてしまいます。
配偶者を法的に主張するためには、登記をおこなっておくのがおすすめです。

▼この記事も読まれています
負動産を相続した際の処分方法とは?相続放棄について解説!

\お気軽にご相談ください!/

不動産相続で配偶者居住権を設定する場合の注意点

不動産相続で配偶者居住権を設定する場合の注意点

最後に、不動産相続で配偶者居住権を設定する場合の注意点について解説します。

注意点1:相続税がかかる

注意点としてまず挙げられるのが、相続税がかかることです。
配偶者の住まいや財産を維持するための権利であることから、一定の財産としてみなされます。
そのため、設定した際は相続税の課税対象となることが注意点です。

注意点2:権利の売却・譲渡はできない

注意点として、権利の売却・譲渡はできないことも挙げられます。
住まいを確保したい配偶者に認められた権利のため、他人への売却や譲渡は認められていません。
たとえば、介護施設への入居費用や、通院のためのお金を確保するために、権利を売却して資金を得ることなどは不可です。
不動産相続後、資金調達のために家を売却しなければならない事態が想定される場合は、権利の取得に対して慎重な検討が必要です。
売却することが決まっている場合は、不動産相続とともに、売ることを検討すべきといえるでしょう。

注意点3:再婚をしている場合は権利の利用に支障がでる恐れがある

再婚をしている場合、権利の利用に支障がでる恐れがあることも、注意点の一つです。
再婚後、前妻とのあいだの子どものみがいる場合、配偶者居住権と所有権を分離せずに後妻が家を取得すると、子どもに自宅を渡せなくなります。
後妻の住む場所を確保しつつ、最終的に子どもに家を取得させたい場合は、後妻が住む権利を、前妻との子どもに所有権を取得させておきましょう。
再婚をしている場合は、子どもと後妻のあいだでトラブルが起こる可能性があるため、慎重な判断が必要です。

▼この記事も読まれています
相続時に発生する不動産取得税とは?課税される事例と対策を解説

まとめ

配偶者居住権とは、夫もしくは妻のどちらかが亡くなった場合、所有していた家に残された配偶者が無償で住み続けられる権利です。
不動産相続の開始時点で居住していることや、法律上の配偶者であることなどが主な要件となります。
相続税がかかることや、再婚をしている場合は権利の利用に支障がでる恐れがあることなどが注意点です。
姫路市の不動産売却なら株式会社Sun Climb れくすむ姫路店がサポートいたします。
資産価値、気になりませんか?査定後にお選びいただける不動産売却コースもご用意しております。
お客様のご要望に合わせて、親身にご相談承ります。


ブログ一覧ページへもどる

まずはご相談ください!

0120-812-234

営業時間
9:00~19:00
定休日
水曜日