相続における遺留分侵害額請求とは?請求方法についても解説

2024-06-11

相続における遺留分侵害額請求とは?請求方法についても解説

この記事のハイライト
●遺留分侵害額請求とは侵害された遺留分(法定相続人に認められた最低限の財産の取り分)の相当額を金銭で請求する制度
●清算方法が金銭になったことや生前贈与の期間が限定されるなど遺留分減殺請求とは異なる点がある
●相続人同士で話し合いをおこない請求・返還するのが望ましいが難航する場合は調停や訴訟に進むことになる

相続が発生した場合、相続人は亡くなった方の財産を平等にわけるのが一般的です。
しかし「ほかの方と比べて少ない」「遺言書どおりにわけたら取り分がほどんとなかった…」といったケースもあります。
そのようなときに用いるのが、遺留分侵害額請求というものです。
今回は、遺留分侵害額請求とはなにか、遺留分減殺請求権との違いや請求方法について解説します。
姫路市で不動産を相続した方や、分け方について不満や疑問を抱いている方は、ぜひ参考になさってください。

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相続における遺留分侵害額請求とはなに?できるのは誰?

相続における遺留分侵害額請求とはなに?できるのは誰?

まずは、遺留分侵害額請求とはなにか、それができるのは誰かについて解説します。

遺留分侵害額請求とは?

遺留分侵害額請求とは、公平性に欠けるような、遺産分割がおこなわれた場合に用いる制度です。
遺留分とは、法律上で取得することが保障されている、財産の最低限の取り分のことを指します。
請求によって、財産を多く取得した相続人から、本来の取り分を受け取ることが可能です。
相続の発生時、有効な遺言書があれば、基本的にはその内容に沿って財産を分けることになります。
取得割合や分け方についても、全員が納得するような方法が記載されていれば、何の問題もありません。
しかし、遺言書に遺留分権利者以外に相続させる旨の記載があった場合、財産を何も受け取れなくなってしまうでしょう。
そのようなときは、遺留分侵害額請求をおこない、侵害された分の相当額を金銭で受け取ります。

請求できる例とは?

遺留分の侵害により、相当額を請求できる例を見ていきます。
亡くなったのが父親で、法定相続人が長男のAさん、長女のBさん、次女のCさんだったとしましょう。
父親は遺言書にて、長男にすべての財産である現金3,000万円を、取得させることを希望しました。
このようなケースでは、長女のBさんと次女のCさんは、法定相続人にも関わらず、1円も受け取れません。
しかし、遺留分侵害額請求をおこなうことで最低限の取り分をそれぞれ取得することが可能になります。

請求できる方とは?

請求できる方とは、下記の法定相続人です。

  • 配偶者
  • 子ども、孫など
  • 父親、母親、祖父、祖母など

請求できるのは、法定相続人のうち、配偶者・子ども・父母・祖父母などの直系尊属となります。
そのため、兄弟や姉妹が法定相続人になる場合、遺留分を求めることができません。
相続放棄(すべての財産を受け取る権利を放棄)した方も同様です。

時効はある?

請求できる期間は、請求する方が、相続の開始および侵害する贈与などがあったことを知ったタイミングから1年間です。
もしその事実を知らなかったとしても、相続開始から10年を経過したときは請求できなくなります。

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相続における遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求権の違い

相続における遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求権の違い

続いて、遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求権の違いについて解説します。
遺留分侵害額請求は、2019年7月1日に施行された比較的新しい制度です。
それまでは、遺留分減殺請求という制度が用いられていました。

  • 2019年6月30日以前に発生:遺留分減殺請求
  • 2019年7月1日以降に発生:遺留分侵害額請求

相続の発生したタイミングによって,どちらになるかが異なります。

違い1:精算方法

違いとしてまず挙げられるのが、清算方法です。
先述のとおり、現在は金銭で精算するのに対し、遺留分減殺請求は現物を返還することが条件でした。
たとえば対象となる財産が土地や建物の場合、不動産そのものが返還されるということです。
しかし、土地や建物の返還によって、当事者同士で不動産を共有することになります。
不動産の共有は、管理の仕方や活用方法などを巡ってトラブルになったり、裁判にまで発展したりするケースも少なくありませんでした。
遺留分侵害額請求は金銭による返還のため、身内同士での争いを防ぐことができます。

違い2:生前贈与のタイミング

生前贈与のタイミングも、違いの一つです。
遺留分減殺請求では、法定相続人への生前贈与はすべて含まれていました。
しかし、何十年も前の生前贈与が持ち出され、トラブルになるケースが多くありました。
そのため、現在は亡くなる前の10年間に限定されています。

違い3:支払いの猶予

違いとして、支払いの猶予も挙げられます。
遺留分侵害額を請求された側が、状況によってすぐにお金を準備できないこともあります。
そのため、現在は支払い期限の猶予を、裁判所に求めることが可能です。
これまでの遺留分減殺請求では、即時返還が求められていたので、法改正によって大きく変わった点といえるでしょう。

違い4:適用時期

適用時期も、違いの一つです。
先述のとおり、遺留分侵害額請求は、2019年7月1日に施行されています。
そのため、2019年6月30日以前に発生した相続は、遺留分減殺請求が適用されることになります。

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相続における遺留分侵害額請求の方法

相続における遺留分侵害額請求の方法

最後に、相続における遺留分侵害額請求の方法について解説します。

方法1:相続人同士で話し合う

まずは、相続人同士での話し合いをおこないます。
円滑に請求・返還をおこなうためにも、感情的にならず冷静に話し合うことがポイントです。
状況によっては不動産会社や弁護士などから、客観的な意見を仰ぐことも検討なさってください。

方法2:内容証明郵便を送付して請求する

話し合いで解決できない場合や、難航してしまう場合、内容証明郵便を使って請求します。
もし請求の時効が迫っている場合は、話し合いの前に内容証明郵便を送付しておくのがおすすめです。
内容証明郵便は受け取った日付が記載されるため、あらかじめ通知しておけば、時効を止めることができます。
この方法は、請求する側が証拠を残しておくために、用いられるケースが多いです。

方法3:調停の申し立てをおこなう

内容証明を送付しても話し合いがまとまらない場合、裁判所にて遺留分侵害額の請求調停を申し立てます。
申し立てる裁判所は、管轄する家庭裁判所です。
調停では調停委員が仲介した状態で、当事者全員の言い分を個別にヒヤリングします。
相続人同士で直接協議するよりも、冷静に話ができ、歩み寄ることができるでしょう。
ここで話し合いがまとまれれば、調停が成立します。

方法4:訴訟を起こす

調停で話し合いがまとまらない場合、遺留分侵害額請求訴訟を起こします。
証拠などによって、遺留分が侵害されていることを証明します。
証拠を収集したり、準備を進めたりする必要があるため、この段階まで進んでしまった場合は弁護士などの専門家に依頼するのがおすすめです。

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まとめ

遺留分侵害額請求とは、侵害された遺留分(法定相続人に認められた最低限の財産の取り分)の相当額を、金銭で請求する制度です。
清算方法が金銭になったことや、生前贈与の期間が限定されるなど、遺留分減殺請求とは異なる点が多くあります。
相続人同士で話し合いをおこない請求・返還するのが望ましいものの、話し合いがまとまらなかったりトラブルになったりする場合は調停や訴訟に進むことになります。
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