相続時精算課税制度の仕組みとは?計算方法と注意点を解説

2024-05-14

相続時精算課税制度の仕組みとは?計算方法と注意点を解説

この記事のハイライト
●相続時精算課税制度は2,500万円までの贈与が非課税となる制度
●相続税を計算する際は相続財産に贈与された金額を加算して計算する
●相続時精算課税制度は物納にできないことや生前贈与加算の対象になる点に注意する

子どもが親などから贈与を受ける際に利用できる制度に「相続時精算課税制度」があります。
この制度は一定額まで贈与分が非課税となりますが、注意すべき点が多くあるため、それらを把握したうえで利用するか決めると良いでしょう。
そこで、相続時精算課税制度とはどのような制度なのか、計算方法や注意点を解説します。
姫路市で相続を検討している方や、相続時精算課税制度について知りたい方は、ぜひ参考になさってください。

\お気軽にご相談ください!/

相続時精算課税制度とはどのような制度?

相続時精算課税制度とはどのような制度?

相続時精算課税制度とは、贈与時には2,500万円まで非課税とし、その後相続が発生した際に非課税にした贈与分の財産も併せて相続税が課税される制度です。
つまり、簡単にいえば、贈与時にかかる税金を相続時まで先送りにする制度です。
ここでは、相続時精算課税制度とはどのような制度なのかを解説します。

相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度は、2,500万円までは贈与税がかからないが、贈与者が亡くなり相続が発生した際に、相続財産だけでなく贈与した財産にも相続税が課される制度です。
たとえば、5,000万円の財産のうち、この制度を使って子どもに2,000万円を贈与しました。
このとき2,500万円までは非課税となるため、子どもには贈与税がかかることはありません。
その後、贈与した親は亡くなり相続が発生しました。
この際に残っていた財産は3,000万円です。
ここで注意しなければならないのは、相続した3,000万円のみに相続税がかかるのではなく、相続時精算課税制度を利用して先送りにしていた2,000万円に対しても相続税がかかる点です。
つまり、相続時には相続財産の3,000万円と相続時精算課税制度で贈与した2,000万円の足した、5,000万円に対して相続税が課税されることになります。
相続時精算課税制度は2,500万円までは非課税となる制度なため、お得に感じがちですが、最終的には相続税が課税されるため注意が必要です。

2024年の法改正により基礎控除の新設

2024年1月1日以降は特別控除の2,500万円とは別に、年間110万円までの贈与が非課税となり、相続税への足し戻しも不要になりました。
つまり、年110万円以下の贈与であれば贈与税は非課税となり、かつ2,500万円の特別控除に含める必要もなくなったのです。
たとえば1,000万円贈与していた場合、これまでは相続時に1,000万円が相続税の対象でしたが、2024年1月からは110万円は非課税となったため、相続財産に加算されるのは890万円ということになります。
また、これまでは贈与ごとに贈与税の申告が必要でしたが、改正により年110万円以下については贈与税の申告は不要になりました。

適用対象者

相続時精算課税制度の適用を受けるためには、贈与者と受贈者のそれぞれが以下の要件を満たす必要があります。

  • 贈与者の要件:贈与をした年の1月1日時点で60歳以上の父母または祖父母である
  • 受贈者の要件:贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人である

なお、推定相続人とは、相続が開始した際に相続人になる方のことをいいます。

手続き方法

相続時精算課税制度を利用するには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までのあいだに、以下の書類を所轄の税務署へ提出する必要があります。

  • 相続時精算課税選択届出書
  • 贈与税の申告書
  • 受贈者の戸籍謄本または戸籍抄本
  • 受贈者の戸籍の附票
  • 贈与者の住民票又は戸籍の附票

なお、2年目以降の申告の際は、戸籍謄本や住民票などの添付書類は不要です。

▼この記事も読まれています
不動産を相続すると税金が発生!計算方法や節税につながる対策とは?

\お気軽にご相談ください!/

相続時精算課税制度を利用した際の計算方法とは?

相続時精算課税制度を利用した際の計算方法とは?

次に、相続時精算課税制度を利用した際の贈与税と相続税の計算方法を解説します。

贈与税の計算方法

贈与税額は、その年の1月1日から12月31日までの1年間で贈与された財産の合計額をもとに計算します。
なお、前述したように2024年1月1日から年間110万円までの贈与は非課税となります。
計算式は以下のようになります。
贈与税=((贈与の総額-110万円)-2,500万円)×20%
前述しように相続時精算課税制度は、贈与税が2,500万円までは非課税となります。
そのため、贈与額から基礎控除分の110万円と、非課税分2,500万円を控除した金額に贈与税が課され、その税率は一律20%です。

相続税の計算方法

相続税には、基礎控除が設けられているため、基礎控除以下であれば相続税がかかることはありません。
基礎控除額については、相続人の数によって異なり、相続人が多いほど控除額も大きくなります。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
たとえば、法定相続人が2人の場合は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」となります。
このケースでいえば、相続財産の総額が4,200万円以下であれば相続税が課されることはありません。
なお、相続税にかかる税率は、相続した財産によって10~55%と異なります。
詳細な税率や控除額については、国税庁のホームページでご確認ください。

▼この記事も読まれています
負動産を相続した際の処分方法とは?相続放棄について解説!

\お気軽にご相談ください!/

相続時精算課税制度の注意点とは?

相続時精算課税制度の注意点とは?

最後に、相続時精算課税制度で注意すべき点について解説します。

注意点①節税になるとは限らない

相続時精算課税制度を使っても、必ず節税になるとは限りません。
この制度を利用すれば、贈与税は控除されますが、相続が発生した際に贈与分にも相続税が課税されます。
そのため、節税と考えるよりも、あくまでも税金の先送りと考えるべきでしょう。
ただし、贈与時には2,500万円が非課税となるため、大きな金額をすぐに移動させたいときには有用な制度といえるでしょう。

注意点②物納ができない

税金を納める方法には、金銭以外にも相続したものなどを税金で納めることができる「物納」があります。
物納は、金銭よりも相続税が高く、税金が支払えない場合などに有効な手段とされています。
しかし、相続時精算課税制度を利用して贈与を受けた財産については「物納」することができないため注意が必要です。
つまり、高額な相続税がかかるような贈与は、相続時の税金のことも考えておく必要があるでしょう。

注意点③生前贈与加算の対象になることがある

被相続人が亡くなる3年以内に贈与をおこなっていた場合は、贈与された財産が相続財産に加算され、その金額に対して相続税がかかるため注意が必要です。
たとえば、亡くなる2年前に子どもに2,000万円贈与していた場合、相続時の相続財産に贈与していた2,000万円が加算される仕組みです。
なお、法改正によりこれまでは「亡くなる前3年以内」でしたが、2024年1月1日以降の贈与については「亡くなる前7年以内」に変更されました。
また、亡くなる前7年以内の加算のうち、3年超~7年以内に贈与した財産については、その総額から100万円を控除した金額が相続財産に加算されます。
そのため、贈与をお考えの場合は、これらの注意点を踏まえたうえで贈与するタイミングに注意しましょう。

▼この記事も読まれています
相続時に発生する不動産取得税とは?課税される事例と対策を解説

まとめ

相続時精算課税制度は贈与税を2,500万円まで非課税にできるため、一見するとお得そうに見えますが、あくまでも税金が先送りされる制度である点に注意が必要です。
また、この制度を利用すると物納に利用できないため、相続時の税金を考えたうえで利用を検討することをおすすめします。
姫路市の不動産売却なら株式会社Sun Climb れくすむ姫路店がサポートいたします。
資産価値、気になりませんか?査定後にお選びいただける不動産売却コースもご用意しております。
お客様のご要望に合わせて、親身にご相談承ります。


ブログ一覧ページへもどる

まずはご相談ください!

0120-812-234

営業時間
9:00~19:00
定休日
水曜日